SANPO CREATE

体に優しいごはんを楽しく、美味しく [後編] 2018.03.30

 

自由にケーキを選べる楽しさを

マクロビオティックの理論は大学在学中に、教室に通って学びました。健康オタクの趣味の延長という感じで。マクロビオティックに興味を持ったのは単純に自分の食の好みに合うから。アレルギー持ちだということもあるかもしれませんが、実は私、好き嫌いが結構あって。炭水化物が大好きで、肉を食べたくないから、マクロビオティックが合うんですよね。極めている人からしたら、そんな私は邪道なのかもしれないけれど、私は「マクロビすごいんですよ」「みんなもやろうよ」っていう感じではなくて、たとえばたまごのアレルギーがあってケーキが食べられない子が、当たり前のようにケーキを食べられればいいなって思っているんです。ケーキが並ぶケースを前に「今日はどれでも選んでいいよ」と言われて「いいの?いいの?」と目を輝かせている子を見るのがなによりも嬉しいんです。

マクロビオティックが一番ではない

だから、お店ではマクロビオティックを謳っていません。どんなイデオロギーであっても、押しつけることも、押しつけられることも良くないと思っているので。そのかわり、できるだけオーガニックなものを使っています。お店では「90%オーガニック」と言っていて、この残り10%の余白が大事だなと。100%完璧なものは、求められてもできないから。それでも食材はかなり慎重に厳選しているつもりです。本当はなんでも食べられるのが一番なんですよ。好き嫌いしないのが一番なんです。アレルギー持ちの子どもだって、大人になってなんでも食べられるようになったらそれが一番いい。だから、マクロビオティックが一番とも思っていません。何も気にせずに楽しく美味しく食べて、後から「あ、体にも優しいんだ」って気づいてもらうのが理想かな。

レシピも100%は目指さない

お店ではケーキやお菓子が中心ですが、デイトのワークショップではごはん系を中心にやっています。時々和菓子も。レシピを考える時はまず自分が何をやってみたいかを考えます。たとえばちまきを巻いてみたいから中華でレシピを作ってみよう、とか。生徒さんと一緒に実験を楽しむような気持ちでワークショップに臨んでいます。レシピも完璧は目指しません。料理ってレシピどおりにはいかないもの。レシピどおりにやったとしてもそれが正解というわけでもないですよね。どんな味になるのか、どんなものができるのか、すべてが分かりきらないから楽しいんです。過去に好評だったのはピザ。豆乳と葛で作ったモッツァレラチーズもどきを乗せて、焼きあがった時は一同テンションが上がりました(笑)

子ども向け料理教室もやりたい

今後はデイトでも子どもと一緒になにかできたらと思っています。この前「月待ち」で、親子で巻き寿司を作るワークショップをやったのが、とっても面白かったんです。海苔に敷き詰めたごはんの上に、お絵かき感覚で具材を並べる子もいれば、きっちりそろえて並べる子、好きな食材だけ使う子など、個性と価値観が顕著に出て本当に面白かった。デイトでもそんな風に子どもたちがのびのびと個性を出せて、楽しくて、体にも優しい料理のワークショップができたらいいですね。

 

 

Profile
向田有伽 | 「月待ち」店主
デイト 講師 [オーガニック料理]

マクロビオティックの考え方を基本とし、たまごや乳製品などの動物性食材や添加物を使わないケーキや焼き菓子が人気のカフェ「月待ち」の店主。「気どらず、楽しく、おいしく。」そんな気持ちをこめた、「90%オーガニック」の店で日々、手しごとと向き合う。
Blog:http://blog.livedoor.jp/tsukimati/

デイトでオーガニック料理のワークショップを担当している向田有伽さん。マクロビオティックの考え方をベースに、美味しくて、楽しくて、体も優しい料理やお菓子を日々、手作りしています。そんな彼女に、食べること、体のこと、大切にしていることなどを伺いました。

大学院卒業後、カフェ「月待ち」をオープン

子どもの頃からずっとなりたかったのは小学校の先生。なので、大学は教育学部に入って、大学院にも行きました。でも、学校という組織に入って働くことにあまりイメージが沸かなかった。私はもともと、みんなと合わせるっていうのがあまりないんですよね。空気を読まないというか(笑)それよりも自分の力で何かを始めるほうが性に合っている気がして、自分でお店を始めることに。カフェにしたのは、昔から喫茶店に憧れがあったからかもしれません。子どもの頃、父の会社の近くの喫茶店でよく父を待っていたんです。今思い返すと、そこで見ていた喫茶店の風景が原点なのかも。大好きな恩田陸さんの小説の中にも、主人公の高校生がおしゃべりや勉強をする場所として喫茶店がよく出てきて、「いいなあ、私も高校生になったら喫茶店で勉強するぞ」って思っていました(笑)

ふらっと寄れる塾のような場所を作りたい

そんなこんなで結局、先生にはならなかったけれど、今でも子どもと関わりたいという想いはずっとあるんです。たとえば、不登校の子が「今日は本を読んでみようかな」という時にふらっとやって来られるような、近所の中高生がテスト前に「ちょっとこれ教えて」って教科書をもってくるような、そんな場所をゆくゆくは作ってみたい。『ポーラを探して』という児童文学の作品があるんですけれど、お話の中に自由塾という塾が出てくるんです。自由な時間に来て、自由に勉強して、おやつタイムには全粒粉のクッキーが出てくる。私がつくりたいのはそんな場所です。そのために今は「月待ち」という場所をまずはしっかり続けていくことが大事だと思っています。

アレルギー、アトピー、喘息に悩んできた

マクロビオティックに興味を持ったのは、私がもともと健康オタクだったから。子どもの頃からアレルギー、アトピー、喘息に悩まされてきたので、体にいいことに詳しくなりたい、良いものは取り入れたいという気持ちがずっとあります。中でもとくに食に関心があったのは、母が栄養士だった影響もあるかもしれません。母は昔から、食事に気を配ってくれていました。また、実家には料理やお菓子の本がたくさんあったので、それを眺めては「これ食べたい」「これ作りたい」とねだって、それを母が作ってくれたり、母が休みの日には一緒に作ったりすることも。思い出の料理はエビピラフにホワイトソースがかかったものです。珍しいでしょ?我が家の定番で、私の好物です。

 

Profile
向田有伽 | 「月待ち」店主
デイト 講師 [オーガニック料理]

マクロビオティックの考え方を基本とし、たまごや乳製品などの動物性食材や添加物を使わないケーキや焼き菓子が人気のカフェ「月待ち」の店主。「気どらず、楽しく、おいしく。」そんな気持ちをこめた、「90%オーガニック」の店で日々、手しごとと向き合う。
Blog:http://blog.livedoor.jp/tsukimati/

空が青く澄みはじめた2017年9月24日(日)、「デイト ワークショップスタジオ」で、自著三冊目となる「薬味づくしおつまみ帖」を発刊されたばかりの編集者・ツレヅレハナコさんのワークショップが開かれました。「お酒と、お酒に合う食べ物のことばかりを考えている」ことから、自作のお料理をツイッターやインスタグラムで発信するようになります。すると、あっという間に話題が広がり、多くの女性たちから支持される存在となりました。
お顔を公表されていないハナコさん。このレポートでも残念ながらお顔をご披露できませんが、広島在住の漫画家・新久千映さんの似顔絵のとおりのボブヘア、イヤリングや長いまつげが華やかな印象です。
この日の参加者は20人ほどの女性たち。「あのハナコさんが広島に来るなら、ぜったい参加したいと思いました!」と、お料理すること、食べることが本当に好きそうな方たちが集まりました。

つくることを楽しませるのも、薬味の役目。

つくるものは「薬味づくしおつまみ帖」からとここだけのメニュー計5品、「梨とセロリのサラダ」「イチジクの白和え」「サンマのバジルフライ」「パクチー焼売」「天津小どんぶり」。スタジオ中にハーブの良い香りが漂っています。
レシピの説明が終わると、手分けをして「サンマのバジルフライ」づくりに取りかかりました。サンマにバジルを敷き、くるくると巻く作業に「サンマが滑る〜!」「上手〜!」など参加者の楽しそうな声が響きます。同時進行でハナコさんは焼売の餡やサラダ、白和えをつくり、参加者は作業の手を止めて見学したり、焼売の皮で餡を包んだり、サンマに小麦粉や卵、生パン粉をつけたりなどの工程でワークショップは進んでいきます。
女性は比較的薬味や香味野菜、ハーブ類を好むといわれます。デリケートで豊かな感性を持つ女性は、神秘的、官能的な香りに敏感なのかもしれません。薬味づくしの料理は、つくることそのものを、その香りによってより楽しませてくれるのではないかと思いました。

スタジオの外では、アルコール類の販売も行われていました。そう、ハナコさんの料理にとってお酒はなくてはならないもの!みんなでビールやワイン、日本酒などをいただきながらワイワイと料理をつくっていきます。お酒が進むほどフロア全体が賑やかになっていきました。

食べることが好き過ぎてつくるオリジナル料理。
それは、食のひとつひとつ、
一日一日を大切にする生き方。

できあがった料理をスタジオ2に運び込み、いよいよ待望の食事の時間。各々お酒を片手に食していきます。たっぷりの薬味が効いていたり、フルーツと香味野菜、フルーツとお豆腐など普段あまり合わせない食材のマリアージュで、和食?洋食?アジアン?そのすべての味わいが詰まった、なんとも魅惑的な味です。しっかりとした味付けで、どんなアルコールにも負けそうになく、料理もお酒も、ご飯もどんどん進みそうです。またこれなら男性はもちろん、子どもでも喜びそうだと思いました。

ハナコさんは「薬味は食材を生き返らせてくれます」と話します。例えば、鶏の唐揚げをお店で買ってきたら、そこにトマトと薬味を混ぜたものをのせるだけでぐんと美味しくなる。ハナコさんは編集者としてお忙しい日々を送っているはずなのに、つねに食事にひと手間を惜しまない。食べることが好き過ぎて自分で料理をつくるようになったのは、食材のひとつひとつ、料理の工程のひとつひとつ、そして普段の暮らしをとても慈しんでいるから?と、ハーブをちぎる手や食材の取り合わせから伝わってきます。女性に憧れられるのは、そんな生き方をされているからだと思いました。

オオヤミノルさん。京都市上京区で焙煎所とカフェ、岡山県の倉敷美観地区でカフェを営んでらっしゃるかた。著書も多数で昨今のコーヒーブームの立役者のおひとりです。去る2017年8月18日(金)19日(土)、そのオオヤさんが「デイト ワークショップスタジオ」でワークショップを開いてくれました。
著書やネットで見るオオヤさんは、寡黙でクールな人に見えていました。「さすがコーヒー職人、かっこいい」というイメージでいざスタジオに行くと。「あれ?ショートパンツにソックスにサンダル、ご近所のおじさんみたい(オオヤさん、ごめんなさい!)。そしてよく喋る…」。
受講者は30名ほど、そのうち男性が11名。おしゃれな人たちが集まっています。オオヤさんの、いい方のイメージとはちがった気さくなお人柄で、最初からスタジオ内はワイワイ盛り上がっていました。

ミルからに、おいしいコーヒーができあがりそう。 ミル職人、藤田仁志さんも登場。

オオヤさんの考えるコーヒーとは、料理のように淹れること。食材を選び、食材に最適な道具を使い、食材や季節、味の仕上がり具合によってつくる温度を調整し、盛る器にまでこだわる。料理ではあたりまえにやっていることをコーヒーでもやりましょう、というお話。特にこの日はコーヒー豆の包丁である「ミル」を何種類も用意されていました。そのミルを用意したのは、倉敷市でコーヒーミルのリペアを職業のひとつにされている藤田仁志さん。基本的にコーヒーが苦手で、飲めるようになるために試行錯誤していきついたのがミルだそう。オオヤさんも「ミルは味をコントロールするもの」と、藤田さんの職人技に絶大なる信頼を寄せています。

ワークショップは、受講者が4つのグループに分かれて、コーヒー豆を最も細かく・荒く挽くところからスタート。「鰹節を削るとき、削り器の刃や削る厚さによって味は変わりますよね。コーヒーも同じです」など、たとえ話がとてもお上手です。オオヤさんが全国のワークショップや講演に引っ張りだこなのは、このような、決してコーヒーを難しく考えない、身近に思わせてくれるところにあるのかもしれません。
「フジタブレンド(※コーヒーの苦手な藤田仁志さんのためのブレンド。商品になってる!)」という豆を一人一人が順にミルで挽いていきます。ミルの個性、挽く目による音や手応えのちがい、香りなどを意識すると、本当にお料理の下ごしらえのように感じます。

知る、挽く、香る、淹れる、飲む。 考えるより感じることが大切。

豆を挽き終わると、やはりオオヤさんに淹れてほしいので、オオヤさんとアシスタントのかたがドリップしてくれました。おふたりともさすが、お湯を注ぐ手さばきがなんとも滑らか。コーヒー粉がふくらむようすは、オーブンの中でお菓子がふくらんでいくように美味しそうに見えます。
さていよいよ試飲。同じ豆なのに、細・荒で味の仕上がりのちがいは歴然。料理と同じように、コーヒーも調理のしかたによって好みがコントロールできることが身にしみてわかった瞬間でした。
その他、白板を使って挽き方の差とお湯の温度のチャートで、どんな味になるかも解説してくれました。

最後にオオヤさんは「ワークショップは、五感を使うことだから僕はすごくいいことだと思います。多くの技術がデジタルになっている今だからこそとても大切だよね」とおっしゃっていました。パソコンやスマホでは得られない、何かを実感すること。あるところに出かけて、見て、聞いて、触って、嗅いで、味わって。五感を使って新しい刺激に出会うこと。やらないよりやった方が絶対楽しい!とあらためて思った一日でした。

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