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五感をめざます ワイン×料理の世界

2018.08.11 廣中祐二 | Uluru店主

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デイト ワークショップスタジオで「五感=ワイン×料理」を担当する廣中祐二さん。ワインと食、それらをとりまくカルチャーやライフスタイルへの想いを伺いました。

どんどんのめりこむ料理とワインの世界

中2の時に同い年の少年が単身オーストリアにお菓子の修行に行くドキュメンタリー番組を見て「これだ!これしかない。」と直感したその日から夢はパティシエ。反対する親をなんとか説得して、大阪の調理専門学校に入学したのですが、最初からつまずいてしまって(苦笑)なぜか自分のケーキだけがふくらまないんです。原因は材料の計量ミス。お菓子はきっちり教科書どおりに計量してつくるのが基本。直感やインスピレーションを大切にする私には料理の方が向いているんじゃないか…先生からのそんな助言もあって、洋食のコースに変更。そこで料理にハマったんです。そして、同じ頃ワインにもハマりだします。きっかけは百貨店のワイン売り場でのアルバイト。自分で選んだワインをお客様に提供するのが楽しくて、ワインの世界にもどんどんのめり込んでいきました。

調理という仕事に必要な覚悟

卒業してからはじめての職場は大阪のフレンチレストラン。厳しい職場で、失敗すると手や足が出てくるのは当たり前。でもそれも私にとっては良い経験でした。なぜならその厳しさには理由があるから。先輩から言われた忘れられない言葉があります。「おれたちはお客さんの命を預かっている。そこに責任がある。」食べ物は扱いを間違えれば、食中毒で最悪、人を殺すことだってある。そこに対する責任と覚悟をもって調理と向きあわなければならないということをたたき込んでもらいました。その覚悟を学んだからこそ、私の今があります。

知らない世界に自ら飛び込む

その後は地元広島のイタリアンレストランへ。将来お店をもつ時のために、サービスの勉強をしたかったので、その店ではサービスを担当しました。その後、半年間のヨーロッパ放浪、帰国後、飲食サービスの仕事を経たのち、ホテルの飲食ビジネスに興味があったのでホテルへ。それまで働いてきた街のレストランとは何が違うのか、大きな組織で働くってどういうことなのかを知りたいと思ったんです。働いてみたらやっぱり違いました。同じ飲食業だけれどより組織人としてのふるまいを求められる感じ。最初はその感覚がわからず戸惑ったけれど、その文化を理解し、そこに合わせる努力をしつづけました。結果的に職場の同僚たちとはすごく仲良くなって、彼らは今でも私のお店にきてくれます。

時間がかかっても納得がいくまで

私は「遠まわり人間」なんだと思います。急いで近道をいくと失敗するタイプ。だから、時間がかかっても納得のいくまで準備をしたいんです。調理もサービスも街のレストランもホテルのレストランも全部経験して。ワインに対しても同じです。ソムリエ試験を受けようと思ったとき、ワインの生産現場を知らない私が仮に合格しても、お客様の前でワインについて満足のいくように語れないと思って、奥出雲のワイナリーへ住み込みで働きにいきました。さらにその後ワインの専門店で働きながらワインを学んだうえでソムリエ試験に初挑戦。この時、一発合格しなければワインの道を諦めてもいいとすら思っていました。自分をひたすら追い込み、合格してやっとワインの道を歩む覚悟ができました。

旅人に恩返しをしたい

ワイン専門店の仕事は「このままここに骨をうずめてもいい」と思うほど、とても楽しくて充実していました。でもワインのことを知れば知るほど、自分らしくワインを伝えたいという気持ちも生まれてきて……。その頃ちょうどタイミングよく広島で今の物件が見つかって。ゲストハウスや観光地からほど近く、海外旅行者の立ち寄りやすい場所。半年間ヨーロッパでバックパッカーをしていた時に現地のひとにもらったたくさんの親切を、今度は私が返したい。ここから発信していけば必ず人は来てくれると信じていました。

朝9時からワインが飲める店

そうしてできた店が「Uluru(ウルル)」。開店時間は朝9時~夜21時ラストオーダーまで。日本にはうちのように朝からお酒を飲めるのが普通のお店って少ないですよね。私は「朝からお酒を飲んじゃいけない」と思っている日本の大人たちの固定概念を変えたいんです。お酒はコミュニケーションの一部。1杯をじっくり時間をかけて飲んだり、その中で会話を楽しむような飲みかたがもっともっと当たり前になればいいですよね。昼型の営業時間の理由はもうひとつあって、働く人とその家族の健康のためでもあります。飲食業って、深夜まで働くのが当然の世界。労働時間も長い。でもせっかく好きな仕事なのに健康的に働けないのっておかしいと思うんです。昼間だけ働くなら、体にもいいし、家族との時間も確保できる。出産・子育てを経た女性も働きやすいと思います。

固定概念から解放され自由に楽しむ

みんながやっていないことをやるメリットもあります。競合店が少ないんです。深夜の飲食店があるからこそ、持ちつ持たれつでやっていける。特別なことをしたいわけではありません。自分にとって自然なことを当たり前にしていく。Uluruは1日のスタートをきる場所として街にとって当たり前のように存在したい。うちだけじゃなくて朝からお酒を自由に楽しめる店がどんどん増えたらいい。10年つづければきっと文化になります。デイトのワークショップでもワインそのものや、ワインやお酒の飲みかたに対する固定概念から解放されて、お酒を自由に楽しむことの魅力をお伝えできたらと思っています。

ワインに合う料理にワンエッセンスを

ワークショップでは手早くできてワインに合う料理をつくります。家でもつくれるように身近に手に入る食材を使いますが、そこには必ずUluru風のワンポイントのエッセンスを。たとえば初回のワークショップでは自家製調味料(塩麹、醤油麹)を作るところから、野菜そのもののおいしさがひきたつ数品を作りました。Uluruでは新鮮なケールをふんだんに使ったお好み焼きや、ハーブサラダが添えられた焼きそばなど、親しみのある家庭料理を野菜中心のこだわり食材や自家製調味料をつかってオリジナルアレンジしたメニューが人気です。お客様に喜ばれる料理のエッセンスを自宅の普段の料理にも取り入れられるようにお伝えしていきたいと思っています。

五感をフル活用する仕掛けを仕込み中

メニューとワインの合わせかたは理屈よりも五感を大切に。ワークショップでは毎回私が選んでお持ちする季節と料理に合うワインをみんなでテイスティングします。詳細は参加いただいてからのおたのしみですが、五感でワインを感じるためのちょっとした仕掛けを用意することもあります。ワインの知識、情報による先入観を持たず、固定概念にとらわれずにワインを楽しむとどんな気づきがあるのか。ぜひ五感をフル活用して楽しんでください。五感は普段の生活の中でも意識すれば研ぎ澄まされるものです。たとえば、自転車に乗って風を感じると気持ちがいい。そんな一瞬さえ逃すのはもったいないことかもしれません。忙しいと気づかないような、五感がめざめる瞬間のひとつひとつを感じ取れるようになって、さらにそれを共有できるひとがたくさんいたら、みんな平和に生きていけるのかもしれないですよね。

 

Profile
廣中祐二 | Uluru店主

ワインバー「Uluru」店主。生産者に寄り添いながら、野菜やフルーツをふんだんに使ったオリジナルメニューや、季節ごとの気分や料理に合う国内外の良質なワインを提供している。

Instagram:@wine_uluru
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